第48号

目次

生活版ジョブコーチ研究事業・・・・・・・・・・2

高次脳機能障害支援普及事業・・・・・・・・・・4

JTBIA 日本脳外傷友の会より・・・・・・・5

全国大会inひろしま・・・・・・・・・・・・・6

小児サポート キッズ・・・・・・・・・・・10

サポートグループ堀川・・・・・・・・・・・11

事務局便り・・・・・・・・・・・・・・・・12

みかんやま作業所だより・・・・・・・・・・・14

お知らせ・・・・・・・・・・・・・・・・・・16


生活版ジョブコーチ研究事業が目指していること ・・・脳外傷友の会みずほ理事  阿部順子

皆さんもジョブコーチという言葉は聞いたことがあるでしょう。しかし生活版ジョブコーチというと「何のこと?」「何するの?」と思う人がほとんどでしょう。名古屋市総合リハビリテーションセンターでは平成1516年の2カ年かけて、在宅ケアの研究事業を行いました。100名余りの脳外傷者のご家族から、在宅で家族が行っているケアについて聞き取りをしたのです。その結果、ご家族は知らず知らずのうちに、生活場面で多くのケアをしていることが分かりました。そして「家族がケアできなくなったらどうなるんだろう」という思いを抱いていました。そこで、「生活を支援するためにはどういう方法が有効か」を実際に試してみることにしました。在宅ケア試行事業の結果、支援の仕方によって外出や家事などの生活技術が自立することが分かったのです。その手法を生活版ジョブコーチと名付けました。

ジョブコーチは職場に入って、仕事がこなせるように障害のある人をコーチするとともに、周囲の人たちにも適切な対応方法をコーチすることで、自立して仕事ができるように援助します。ジョブコーチは職場適応援助者と言われ、今では高次脳機能障害者に有効な就労支援の方法となっています。それと同じように、生活の場に入って、生活行動がうまくこなせるように障害のある人をコーチするとともに、ヘルパーや家族に適切な対応をコーチすることで自立した生活行動が可能となるように援助するのが、生活版ジョブコーチすなわち生活適応援助者の役割です。

9月に北海道、神奈川、岡山、愛知の当事者団体の役員や作業所の支援者などの研究協力者に集まっていただき、名古屋リハ3日間の生活適応援助者養成研修会を行いました。支援策をどのように考えていくのか、その道筋が分かるようなツールを開発し、ツールを用いた演習に力を入れました。参加した30名余の皆さんは、大変熱心に演習に取り組んでいました。2月に残り2日間の研修を実施し、来年度から2年間、生活適応援助者派遣試行事業を行います。愛知県からは5団体が参加していますので、皆さんの中のどなたかにお声がかかるかもしれません。この手法が有効であることを証明できれば、国に制度化を働きかけていくことができます。当事者団体や作業所の支援者などが、この手法を活用することで、家族のケアが受けられなくなっても、住み慣れた自宅で生活が継続できるようになればいいと願っています。

脳外傷友の会第9回全国大会inひろしま

1034日、広島県廿日市市で日本脳外傷友の会第9回全国大会が開催されました。日本三景でも知られる安芸の宮島、瀬戸内海の海に浮かぶ島や観光スポットでも有名な朱塗りの大鳥居の厳島神社がすぐ傍にある“安芸グランドホテル”が会場となりました。3日午後1時より「日本脳外傷友の会運営委員会」と支援コーディネーター研修会が開催されました。運営委員会では21団体の代表参加とオブザーバー2名、顧問の阿部順子先生、日本脳外傷友の会事務局より1名、平成21年度の総会も兼ねて行われました。


9回全国大会in広島に参加して

一日目の交流会では主催者側の企画で座席がシャッフルされていました。今回は弁護士や作業療法士の方と同じテーブルでお話ができ、とても有意義な交流会になったと思います。また、会場が厳島神社のすぐ近くということで、瀬戸内海のナイトクルージングに参加しました。厳島神社の歴史を聞きながら、幻想的にライトアップされた美しい大鳥居を船から眺めることができ、感激しました。

二日目の本大会では、当事者とその家族の体験談発表がありました。以前と違う自分を受け入れるのに葛藤した過去の経験を、当事者本人から聞くこともできました。また、障害者になって引きこもってしまった息子を家族が懸命に支え、就労だけでなく、結婚まで辿り着いたという感動的なエピソードがあり、会場には話の途中で涙を浮かべている方もいました。その中で、発表者のAさんが「人の力を借りることは恥ずかしいことじゃない。それがわかったときに初めて、今の自分に何ができるのかがわかると思います」と、しっかり前を向いて会場に語りかけていた表情がとても印象に残りました。

 今大会は、「〜繋ぐ〜 時を・場を・人を・未来のために」というテーマが掲げられていました。その言葉のように、未来への“つながり”を感じることができる、すばらしい大会になったと思います。(近藤)